
藤田紘一郎医師の体験的子育て論とは?
医者にするつもりで小さい頃から幼児教育をした長男は音楽家、
自由奔放に育てた娘達はそれぞれ歯科医師、医者に!
脳と腸を研究されている藤田紘一郎医師は、ご自身の子育体験を通して、
早期の英才教育、幼児教育は子供の脳の発達には批判的であると述べています。
医者家計の藤田氏の家計では、長男は医師になるために、小さい頃からピアノや英才教育、
情操教育などを行い、一人息子に力を注いだそうです。
それに対し、娘さんは『かわいく、優しい子に育てばよい。』
というスタンスで子育てをされたそうです。
高校生入学までは、素直で成績もいつもトップの長男は、高校になると「医者になるのは嫌だ!」
と反抗。成績も落ちましたが、その後、音楽大学に進学し、今では好きな時にピアノを弾いているそうです。
それに対し、2人の娘は、高校までは目立つ存在ではなかったものの、医学部に合格、
現在は歯科医師と医師として活躍されているそうです。
この経験を通して、藤田医師は「幼児期の英才教育は子供をダメにする」と指摘します。
睡眠時間が長い子どもほど、記憶や感情を司る「海馬」の体積が一割ほど大きく育っています。
お腹の中の胎児は、1秒間に9500個のニューロンが作られ、
受精後160日前後でニューロンは1000億個にまで増加、
その後ニューロンの成長は止まり、その後はニューロン同士がシナプスで繋がり、
3歳までに一つのニューロンに対し1億5000個ものシナプスが形成されます。
その後、使われない回路のシナプス刈り込み減少が起こり、
必要な回路だけに整理されることになります。
3歳から15歳の時に興味を持った音楽や美術、
スポーツやアカデミックな活動に関わり、
脳を機能させていくと、それに適した回路が形成されます。
シナプスの刈り込み現象は、すべて否定的に捉える必要はなく、
むしろ必要なことであると藤田医師は話されています。
小さい頃の経験が、個性や才能になり、独自の強いシナプスを形成します。
シナプスの刈り込みがうまく行われないと、なんでも記憶する能力を持つ反面、
感動することや人間関係を築くことが苦手な、個性や嗜好、判断力や情熱すべてが
欠如した子供になってしまいます。
シナプスが多いからといって、賢い子に育つというのではなく、賢さはその子の
最も強靭な回路をいかに上手に利用できるかで決まります。
使用頻度や刺激によって強い回路を作るためには、何十億個のシナプスを失うことは
当たり前のことで、むしろ必要なことであると指摘されています。
藤田医師の考える子育て法で一番大切なことは、子供の持つ強靭な回路の特性を知り、
褒め、鍛錬を重ね、じっくり成長させてあげることが一番良い方法である。
小さい頃から無理やり押し付け教育をしても、子供のためにはならないし、
そもそも子供は親の思う通りにはならないということです。
その子の個性や長所を敏感に感じ取り、徹底的に褒めて伸ばす。
これが、その子を伸ばす一番の近道であり、幸せをつかむための方法ではないでしょうか。
小さいうちに、恐怖心や怯えた生活をしている子は、
恐怖心などの怯えを感じる回路が発達してしまうため、
大人になっても、必要以上に注意深くなってしまったり、
不安を強く感じてしまうようになります。
このような思考回路の習慣は、シナプスの刈り込み現象が影響していると言えるでしょう。
小さい頃に楽しい、幸せな生活を送っていた子供は、何事にも前向きで、
否定的な感情を抱かない子供に育つようになるでしょう。
ポジティブな考え方を持てる子は、一生幸せな人生が送れるようになります。
自閉症や統合失調症などを発症する人は、なんらかの小さい頃の不安や恐怖を
感じていた子供時代を送っていたのかもしれません。
小さい頃の環境が、一生の考え方を左右してしまうということを親はよく理解し、
接していく必要があるのではないでしょうか。

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